この記事が事実ならば全体で倍の量、うち業務用冷凍空調機器で5倍ものフロンがグレーゾーンに入り大気へ放出されているのです。
見積もりが誤っていた原因の(1)及び(2)の表現は分かりづらく何らかの誤解を招くのではと心配されますが、弊社のような業務用冷凍空調機器からのフロンを回収する業者としてもっとも注目すべきは「(3)適切な回収作業が行われなかった。」の内容です。
文中の回収作業とは実際に作業する者を指すのか、又は施主から回収業者までの流れにある回収に関わる各作業を含むのか、少し疑問は残りますが業務用冷凍空調機器で5倍もの漏れがあるのは大問題です。
フロン回収を専門とする弊社では実際に作業を実施する作業者に視点を置き考える必要があります。
回収対象機器に向き合っているのになぜ適切な回収作業が行われないか。
不思議な話です。
回収装置を使用し、省令第6条の回収基準を遵守すればこの問題は発生しないのですが・・・この回収基準を遵守することの難しさが浮かび上がってきます。
フロン回収の現場は、回収装置を使用して容器に回収することこそ同じですが、様々な作業環境で回収します。
機器の特徴や設置状況から液体フロンの滞留する部分を予測できず、さらには回収基準の誤った解釈や回収完了の誤認があるような場合などで大気放出となる可能性があります。
また、フロン回収業への登録が容易なことから様々な分野から参入されていると思われますが、その結果フロン回収業は「回収装置頼みの仕事」的な感が否めません。
業務用冷凍空調機器で5倍もの膨大な漏れ量では回収業者の技術の欠如が要因の一つと言われても仕方がありません。
今後はさらにフロンR410Aの回収作業が多く発生する状況となってきます。
ご存知の通りフロンR410Aは圧力が高く、回収作業により注意が必要と思われます。
前者の問題が解決できていない現状に加え、フロンR410A回収の低効率となる要因が複合的に悪影響を及ぼした場合は、さらに問題が大きくなるのではないかと懸念されます。
このたび弊社では、微力ながら現場技術者の視点から考えられたフロン回収のための補助ツール<サイクロン>を提案させていただきます。
これは長年の実績をもつ現場技術の一つを商品化したものです。<サイクロン>は低温脆性を示さない金属で構成され回収装置吐出側と容器間にセッティングし、回収装置から吐出された液フロンが流れるコイルをドライアイスの昇華熱で直接冷却することで圧力を抑制します。
フロンR410Aの実証テストでは、温度37℃〜38℃(回収装置メーカー使用範囲は0℃〜39℃)の作業環境において回収装置への吸入圧力を0.5MPaとし100分間の連続運転を実施しました。その結果、回収装置吐出圧力は常時2.0MPa以下の圧力に抑制されました。
圧力が抑制されたことから大きな生産性を得ることができるとともに安全性が高くなり回収装置の負担・トラブルが減少します。
この効果を最大限に利用することがフロン回収の作業品質を高め、より適切な作業になると思います。
弊社ではフロン回収作業の初期段階で出来るだけ早くフロンを寝込ませる(※)事により限られた作業時間の中で回収状況を逸早く把握します。
作業者は気持ちに余裕ができ、冷静な状態で様々なトラブル等の場面で迅速に考えられる状態にします。
技術向上の一歩です。
弊社の提案は実際の回収作業現場で生産性の高さから得られる効果を最大限に利用し、作業者の技術の向上をはかりながら企業利益につなげていくものです。
これまで12年間のフロン回収専業業者としての経験からは省令第6条の回収基準を様々な現場環境すべてにおいて遵守することは難易度が高いと感じています。
そのため、さらに弊社の社内ルールでは現行法-0.01MPa(ゲージ圧力)の基準値に対しては-0.04MPa(ゲージ圧力)と、より厳しい基準値を自主的に定め回収率90パーセント以上の確保に努めています。
業務用冷凍空調機器から5倍の漏れの実態を記事で読んだとき何とも複雑な心境となりました。
5倍の漏れの中でフロン回収業者の占める割合がどの程度なのかは判断できませんが、少なくともプライドを持つ技術者は愕然としたはずです。
※寝込み→液フロンが蒸発熱で冷え込み蒸発し難い状態。滞留する場所はアキュームレーター、圧縮機の潤滑油中、配管内部など機器の種類や設備の状態で違うため特定できない。
※ドライアイスは地球温暖化に影響を及ぼすとのご指摘をいただきます。
ご指摘の通りドライアイスは炭酸ガス(二酸化炭素)を固体化したものです。
原料となる炭酸ガス(二酸化炭素)は石油精製などの過程で副産物として発生し、その一部を大気に放出するのでなく二次利用<有効利用>された結果ドライアイスが作られます。ドライアイスは温暖化係数がありますが現段階では、より温暖化係数の高い(1000倍以上)フロンを回収するために利用する有効な手段だと考えます。
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